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学習指導要領や教科書の改訂で、数学の授業の内容はどのように変わりますか?

まず小学校の算数で大きな改訂があったことを受けて、中学校の数学では小学校へ下りていった学習内容を補充する形で新たな内容が盛り込まれたり,今まで「発展的な学習内容」とされていた内容が通常の正規の内容になったりしました。中学校の場合は、教科の内容として難易度が上がったというよりも、課題が増えたことによって教科書自体の厚みがかなり増え,授業の時間数も増えたことが特徴です。学習内容の変化だけを見れば、小学校の方が変化は大きかったでしょう。小学校の若い先生には、この変化に対応するために苦労されている方もいらっしゃるかもしれません。

授業水準としては、ゆとり教育が導入される前の状態に戻る方向に進んでいると言えば簡単でしょう。しかし学習指導要領の内容は、単に戻ったというわけではありません。これは他の教科にも共通して言えることですが、「ゆとり」と、それ以前の「詰め込み」への反省は残っています。この反省が反映された新たな学習指導要領には、より建設的な教育方針が打ち立てられています。

改善事項には、「国際的な通用性」「内容の系統性」の観点から指導内容を充実、と難しい表現が使われていますが、数学という世界共通言語の理解と発展によって、国際的な人材育成を目指していると解釈できます。この理念は、「詰め込み」でも「ゆとり」でも実現できないものでしょう。これに従った授業内容の拡大と深化であれば、今回の改訂について心配されている親御さんもご理解いただけるのではないでしょうか。

「教科書準拠」の数学の参考書を使うことにはどのようなメリットがありますか?

先に述べたように、今年からは従来よりも学習内容が増えます。必要なのは、この教科書と授業の内容にしっかりとついていくことですね。ボリュームも時間も増えていますので、生徒さんの学習範囲は広く深まっています。授業での疑問を残したままにしておくと、あっという間についていけなくなるでしょう。

そこで役立つのが、教科書内容に準拠した教材です。教科書には明示されていないがよく問われるポイント,教科書では少し舌足らずと思われるポイントを補完するのが,教科書準拠の強みです。個人の塾では、テキストに文理の「教科書ワーク」を使われているところもあります。それは、やはり教科書の内容をしっかり理解しておくことがなによりも重要であることが認められているからでしょう。

数学を学ぶ上でのポイントとなるものはどこでしょう?

数学は、Key of Universe と表現されるように、世界の万象の謎を解くカギのようなものです。数学を学ぶことで物事の構造がわかり、組み立て方がわかり、変化の仕方を解明するのに役立ちます。自然界、人間界にはたくさんの謎があります。それを解くカギとなる数学は、実際にいろんな暗号にも応用されています。ですので、数学を勉強するといろんな謎を解くカギを手に入れられるぞ!と言うことができますね。そこに興味を持ってもらえることが、数学の学習を楽しくするポイントだと思います。

とにかく、楽しく勉強するためには興味を持つことです。好奇心が強ければ強いほど、問題を解くことも楽しくなりますし、難解な問題であればあるほどぶつかっていくエネルギーにもなるでしょう。

数学の勉強に関してアドバイスはありますか?また、文理の教材を使うメリットは?

小学校の算数よりも中学校からの数学の方がよりロジカルで、ルールに基づいて行うゲームのような感覚があります。ルールに従えば、ここまでできるんだという達成感を感じられるでしょう。高度な数学では話も違ってきますが、中学の数学レベルなら解答はだいたいひとつで、その答えにたどり着いたときには大きな達成感があると思います。また、中学数学では手持ちのルールの数は少ないけれど、それらを組み合わせることによって大きな構成を構築でき、そのロジックが整然としたときには清々しさのような感覚すら覚え、それが数学を好きになるきっかけになるでしょう。

文理の教材は、解説とまとめが区分けされており、分からないからすぐに解説を見てしまうのではなく、ヒントを得ながら自力で解くことの面白さを感じてもらうようにできています。大切なのは、解答に導くまでの過程に面白みを感じてもらうことですから、単純に答えだけを記載するのではなく、解説も丁寧に分かりやすく工夫しています。演習問題にもバリエーションを持たせて、多くの問題に触れることで自分の中のルールブックを充実してもらえるようにしています。

文理では、数学の教材を作る際に、どのような点に注意していますか?

なかなかご利用者の生の反応というものに触れる機会は少ないのですが、時折「ここまで解説してくれて役立った」という声をいただきます。そうするとかえって「ここまでやることを求められているのか」という気づきにもなり、自己叱咤とともに達成感を感じられます。逆に批判の声をいただけば、更なる改善への気構えが強まりますし、編集者としてはむしろありがたい声だと感謝しています。

「教科書準拠」を掲げているので、内容だけではなく中身の構成の仕方にも気を遣っています。どうすれば教科書と照らし合わせても見やすく分かりやすくできるか、と考えながら構成し、かつ教科書をサポートできるだけの情報をどう盛り込んでいくかということも考えなければなりません。とにかく、使いやすくて分かりやすい教材でなければ、数学を好きにはなってもらえませんから。そこにいつも重点を置いて作っています。


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